ファンド用語集FUND GLOSSARY

無限責任組合員(GP)

GP

無限責任組合員(GP:General Partner)とは、投資事業有限責任組合(LPS)において、業務執行を担う代表組合員をいいます。

文字通り、組合の債務に対して無限責任を負う立場にあり、ファンドの運営・管理の中心を担う存在です。
LPSは法人格を持たないため、投資実行など各種契約の法律行為は、GPの名義で行われます。

■無限責任組合員(GP)と有限責任組合員(LP)の違い
投資事業有限責任組合(LPS)におけるGPとLPには、役割や責任の面で明確な違いがあります。

・責任範囲
LPはその出資額を上限とする「有限責任」にとどまるのに対し、GPは出資額に関係なく、組合の債務全体について「無限責任」を負います。
このため、GPはファンド運営における最終的な責任を引き受ける立場にあります。

・業務執行
GPがファンドの運営・管理全般を担い、資金の出資通知(キャピタルコール)や投資判断、投資先の売却、分配の実施、LPへの業務報告など、あらゆる実務を担当します。
一方で、LPは運営には関与せず、出資者としての受動的な立場にあります。

・出資比率
一般的にGPが1%以上を出資し、LPが残りの大部分(たとえば99%程度)を出資するという構成が採られます。

■GPの主な業務内容
GPはファンドの実質的な運営主体として、以下のような業務を担当します。

・出資者(LP)の募集(ファンドレイズ)
・投資方針の策定と意思決定
・キャピタルコール(出資通知)
・投資案件の選定(ソーシング)、実行、モニタリング、バリューアップ
・投資先の売却(投資の回収)、分配
・LPへの報告書作成、開示対応
・会計監査対応

これらの業務はすべてGPの名義で行われ、責任の所在もGPに集中します。
逆に、LPはこういった業務に関与することはありません。

■無限責任のリスクとその回避方法

GPは法律上、組合の債務について無限責任を負います。
そのため、ファンドマネージャー個人が直接GPになることは稀であり、以下にような有限責任の事業体をGPとすることでリスク回避が図られるのが一般的です。

・株式会社
社会的信用が高く、規模の大きなファンドで多く採用されます。一定のコストと管理体制が必要となります。

・合同会社
設立・運営コストが低く、意思決定の柔軟性が高いため、独立系ファンドを中心に普及しています。

・有限責任事業組合(LLP)
法人格はないが、パススルー課税が適用されることから、税務面での柔軟性を重視するファンドで選択されることがあります。

実務上は、ファンドマネージャー個人がこれら法人の出資者・代表として間接的にGP機能を果たします。

■GPの報酬体系
GPは、以下の2種類の報酬を得ます。

・管理報酬(Management Fee)
コミットメント金額やファンド資産残高に一定割合を乗じて定額的に受け取る報酬です。
人件費やオペレーション費用の原資となります。

・成功報酬(キャリード・インタレスト)
ファンドの利益が一定水準(ハードルレート)を超えた場合に、超過分の一定割合(例:20%)を受け取ることができる報酬です。
ファンドマネージャーのインセンティブとして機能しています。

関連用語:有限責任組合員(LP)