ファンド用語集FUND GLOSSARY

投資事業有限責任組合(LPS)

Investment Limited Partnership

ファンド用語集 カテゴリ: 基本用語ファンドレイズ組合契約

投資事業有限責任組合(LPS:Limited Partnership)とは、主にベンチャーキャピタルやプライベート・エクイティ・ファンドの運営に用いられるスキームで、「投資事業有限責任組合法」に基づいて設立される事業体です。

業務執行を担う無限責任組合員(GP:General Partner)と、出資のみを行う有限責任組合員(LP:Limited Partner)から構成されます。

GPがファンドの運営・管理を担い、LPは出資額の範囲内で責任を負いながら、ファンドから利益の分配を受けます。

従来は「GPが1法人で1%の出資、LPは複数で99%を出資する」という形が一般的でしたが、最近では、以下のような多様なストラクチャーも増えています。
・GPが複数またはLLPのケース
・GPの出資比率が1%を下回るケースまたは大幅に超えるケース
・LPが1社のみのケース

LPS自体は法人格を持たない組合ですが、設立登記が必要であり、また会計監査も義務付けられています。

税務上は、「パススルー課税」が採用されており、LPS自体が法人税や消費税の納付義務を負うことはなく、各組合員が個別に課税対象となることで、二重課税が回避されます。

なお、原則としてファンドを設立するには第二種金融商品取引業の登録が必要となりますが、出資者に適格機関投資家が含まれる場合には、「適格機関投資家等特例業務」により、届出のみでファンドの組成が可能です。この特例により、ファンド設立のハードルが大きく下がっています。

類似のスキームとしては、有限責任事業組合(LLP)や民法上の任意組合が挙げられますが、以下の理由から投資ビークルとして採用されることは稀です。

■有限責任事業組合(LLP)
LLPは、全ての組合員が業務執行に関与する必要があるため、「LPが運営に関与せず出資のみ行う」というファンドの基本的な仕組みと相容れません。

■民法上の任意組合
任意組合では、全組合員が無限責任を負うため、投資家にとってリスクが高く、資金調達には適していません。