LP(リミテッド・パートナー)とは有限責任組合員のことで、ファンドの運営に対して出資額を限度として責任を負う組合員をいいます。
かつては一般の個人投資家もLPとなることが可能でしたが、平成27年の金融商品取引法改正により、原則として「金融商品取引法施行令第17条の12第1項各号に定める投資家」に限定されています。
なお、ベンチャーファンドの特例を利用する場合でも、一定の条件や制限があります。
LPは、ファンドへの出資にあたって単にリターンの獲得を目指すだけでなく、多様な戦略的・機能的な目的をもっています。
たとえば、事業会社系LPの場合、投資先企業とのネットワーク構築やGP法人への出向を通じた投資実務の習得、さらには将来的な事業提携やM&A候補の探索といったオープンイノベーションの促進を目的とするケースも多いです。
一方で、金融機関や年金基金などの機関投資家LPでは、伝統的資産とは異なるリスク・リターン特性を持つオルタナティブ資産としての位置付けから、資産分散やリスクヘッジを目的として出資するケースが一般的です。
さらに近年は、ESG(環境・社会・ガバナンス)や社会的インパクトを重視するLPも増え、GPの投資方針やポートフォリオが理念に合致しているかを重視する傾向も強まっています。
このように、LPの出資動機は多様ですが、いずれの場合でも信頼できるGPの選定が極めて重要です。
LPは、主に以下の観点からGPを慎重に評価し、出資の可否を判断します。
・GPのトラックレコード(過去実績)
・チーム体制や投資運営の安定性
・投資戦略の明確性と妥当性
・利益相反管理の体制と実効性
・情報開示や報告の透明性
・GPとLPとのインセンティブの整合性
また、投資事業有限責任組合(LPS)は、GPが業務執行権限を一手に握る構造のため、すべての意思決定がGPの裁量に任されるとLPの権利が十分に守られないおそれがあります。
このため、実務上は組合契約において重要な意思決定についてLPの同意を求める条項が盛り込まれることが一般的です。
これにより、LPの権利が守られ、ファンドの運営における適切なガバナンスが確保される仕組みとなっています。
関連用語:無限責任組合員(GP)